これで間に合う!聴音学習法【テキスト版】

(受験生)こんにちは〜。また遊びに来たよー。受験生だから、あんまり時間ないけど。
(指導部)夏休みはどう? 学習計画は順調かな?
(受験生)実技はねー、一日中練習できるのが嬉しい。
(指導部)そうか、頑張ってるねー。他の科目はどう? 聴音とか。

(受験生)聴音か…。やらなくちゃとは思うんだけど、どうしても後回しになっちゃう。
(指導部)実技は、同じ曲を何度もやるから、練習すればするほど上達するけど、聴音は、いつも知らない曲に挑戦するようなものだから、上達を感じにくいかもね。
過去問題は見てみた?
(受験生)うん、見たよ。参考にはなるけど、同じ旋律が出るわけじゃないし、いっそのこと、入試一発勝負に賭けようかと…
(指導部)聴音は「入試一発勝負」のイメージを持つ人は多いね。確かに入試の問題は、誰も見たことがないから、狭い意味では「入試一発勝負」なんだけど、それに捕らわれていると上達できない。
まず、なぜ過去問題が公表されているか、考えたことはある?
(受験生)なぜって、受験勉強をしやすくするためでしょ。過去問題がないと、入試のイメージがわかないから。
(指導部)さすが受験生、入試に必要なことを漠然と感じているね。もう少し丁寧に考えてみよう。
受験生から見ると、入試は「ライバルとの競争」に感じるけど、本来は違う。入試というのは、「入学までにこのレベルの実力を身につけて来て下さい」という大学からのメッセージなんだ。その証拠に、過去問題と全然傾向の違う問題は出たりしないし、変更される時は何年も前から告知される。大学が「聴音は入試一発勝負」とは考えず「充分勉強してきて欲しい」と思っているからだね。
じゃあ、どういう勉強をしたら良いと思う? 安心して入試に行くためには?
(受験生)え〜?
(指導部)じゃあ、ヒント。これまでのレッスンで「前に書き取ったことがある気がする」と感じたことはない?
(受験生)あー、あるある。
(指導部)それは、曲全体としては初めてだけど、短いフレーズに分解すれば、似た音型をやった経験があるからなんだ。調や拍子は違ったとしても、ちゃんとドレミの音名で聞こえてくる。
つまり「初めて聞く曲だけど、初めて聞く気がしない。」これが入試で理想の書き取り方なんだ。
もちろん聴音レッスンの先生は、そういう意識で課題を選んでいるし、生徒の方だって、漠然とそれを感じているとは思う。
でもその仕組みをもっと意識的、戦略的に活用するんだ。頭の中に音型というパーツを準備しておいて、旋律を聞いた瞬間に「あの音型と、この音型」と照合して、かたまりとして書き取る方法を覚えよう。
「旋律の書き取り」と言うと、一音ずつ高さと長さを考えて書くイメージがあるかも知れないけど、入試だと時間切れになっちゃうからね。
(受験生)ふーん、「かたまりとして取る」かー。
(指導部)頭の中に「かたまりとしての音型」を入れる方法は何でも良い。一番の近道は、書き取った課題を一回は暗譜すること。次に似た課題をやる時は、必ず書き取れるはずだから。
それから、コールユーブンゲンとか、新曲視唱もやってるよね?
(受験生)うん、まあ、やらなくちゃだね。
ただ歌って終わりじゃなくて、聴音のための音型パーツを増やすつもりで、一度は暗譜して歌うといい。翌日は忘れてもいいから「一旦は覚えきる」ことが重要なんだ。そうすれば入試で似たような音型を聞いた時に、自然に思い出されるはず。
「聴音は、入試一発勝負ではない」という意味が、わかってもらえたかな?
(受験生)入試で出るかも知れないと思いながら、聴音とか新曲の課題を覚えればいいんだね。
(指導部)実は、この「音を覚えておいて、照合する」練習は、聴音のためだけじゃない。クラシック音楽で重要な「動機」「音型操作」の基礎になるんだ。詳しいことは入学後に勉強するよ。それに演奏も絶対に良くなる。「語りかけるように弾く、吹く」ことが簡単にできるようになる。だから、ぜひコツコツ頑張ってみて!

(ポイント)聴音学習心得聴音は、入試一発勝負ではない。類題をたくさんやって、音型というパーツを、頭の中に準備しよう